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Ripe エコシステム
イエローペーパー

Brim

希薄化しないフロア。あふれ出す利回り。

Mick Hagen @mickhagen

プレミアムが利回りを賄う。
準備資産がフロアを賄う。
対価なしに発行されるものはない。
償還ボタン付きの (3,3)。

トークンについて。プロトコルの名称は Brim、トークンは BRIM である。正規の BRIM は、@Brim_HQ が公開するコントラクトアドレスのトークンのみである。ジェネシス以前にこれらの名称で取引されるものは、いずれも本プロトコルのものではない。
要旨

Brim は、トークン化株式のバスケットを、利回りを生むトークン BRIM に変える Robinhood Chain 上のプロトコルである。株式は準備資産であり、利回りこそが商品である。準備資産は、トークン化された Nvidia 株式(NVDA)を最初の資産として始まる。将来的には、多様なトークン化株式からなるバスケットへと拡大することを目指す。準備資産は、プロトコルが brim(器の縁)と呼ぶ水位線まで満たされる。この線はトークン当たりの簿価を表す。この線を超えて流入する価値はすべて剰余であり、Waterfall が裏付けの強化、運用、ステーカー向けのオーバーフロー、開発者への配分に分ける。ステーカーの残高は、トークンそのものの数量として増えていく。その増加はプロトコル収入(オファリングのプレミアム、取引時の通行料、運用デスクから還流する利益)を源泉とし、収入が実際に到着して初めて報酬を発行できる。Well が残る間は、ジェネシス時の有限のトークンプールも報酬を補う(§ 7)。この利回りを支える、揺るがない原則がある。存在するすべての BRIM には対価が支払われている。ジェネシス後の BRIM は、すでに準備資産として受け入れられた価値を裏付けとしてのみ発行され、コントラクトは発行のたびにこの計算を検証する。VC、インサイダー、プレセールは存在しない。ローンチは参加を望むすべての人に開かれている。Top Juicers が最優先となる。フロアは約束ではない。Tap が開いている間、誰でも呼び出せる償還関数である。

§ 1

二つの数値

プロトコルは、チェーン上の状態から誰でも計算できる二つの数値を軸に構成される。

簿価 = 準備資産 NAV / 総供給量 [brim] フロア = 簿価 × (1 − 償還手数料率) [手数料率 = 2%]

簿価は、本稿で brim とも呼ぶ値であり、トークン一つに対応する準備資産の持分をオラクル価格で評価したものである。フロアは、Tap が開いている間に償還する誰に対しても、Tap が準備資産で実際に支払う額である。許可不要で、現物により、brim を 2% 下回る水準で支払われる。手数料は、保有を続ける者の取り分となる。

中心となる保証を正確に述べると、次のとおりである。

プロトコルが受け入れる価格を基準とする限り、いかなるプロトコル操作も brim を引き下げることはできない。ジェネシス後は、発行のたびに、それを実行するトランザクション内でこの不等式が成り立つことを検証する。

この主張の範囲を区別する必要がある。準備資産はトークン化株式であり、その市場価格は変動するため、ドル建ての簿価も変動する。起こり得ないのは希薄化である。いかなる発行、報酬、手数料、設定によっても、対価が全額支払われていないトークンを発行することはできない。市場は簿価を引き下げ得るが、プロトコルが受け入れる価格を基準とすれば、プロトコル操作が簿価を引き下げることは決してない。

価格 オファリングの発行価格:5.00× → 1.10× BRIM / NVDA 市場:brim は不変 償還手数料 2% フロア未満:バスケットへ償還 1.10 × 簿価 Pour の最低価格 brim 簿価 = NAV / 供給量 0.98 × 簿価 フロア:Tap の支払額
図 1. 価格のはしご。Tap はフロアで買い取り、Pour は簿価の 1.10 倍以上で販売する。市場価格はこれらの線の間や上方に位置する。brim は、いかなるプロトコル操作も引き下げられない線である。

六つの用語。本稿では、混同しやすい六つの経済用語を用いる。

簿価準備資産の NAV を総供給量で割った値。すべての不変条件の検証基準となる正式な数値。
brim簿価と同じ数値を水位線として表したもの。1 BRIM を裏付ける価値。
フロアTap が支払う額。簿価から償還手数料を差し引いたもの。
剰余販売、通行料、運用デスクから brim を超えて流入する価値。
Waterfallガバナンスが定める剰余の配分。配分先には、Reservoir における裏付けの強化、運用デスクの資本、ステーカー向けのオーバーフロー、開発者への配分が含まれる。
オーバーフローWaterfall のステーカー向け配分。Spillway のティックを待つもの。
§ 2

Brim は価値をどう動かすか

プロトコルは、単一の目的を持つ小さなコントラクトの集合である。それぞれが一つの役割を担い、価値が流れる順に見ると理解しやすい。

構成要素平たく言えば役割
Pourオファリングガバナンスが開始するオファリングで、新規トークンを常に brim より上の価格で販売する。
Reservoir準備資産すべての BRIM を裏付けるバスケットを保有する。価値は自由に入ってくるが、出口は一つだけである。
Tap償還その唯一の出口。BRIM をバーンし、保有比率に応じたバスケットの持分をフロアで支払う。
Waterfall配分brim を超える剰余を、ガバナンスが定めた比率で一単位ずつ振り分ける。配分先には、Reservoir における裏付けの強化、運用デスクの資本、ステーカー向けのオーバーフロー、開発者への配分が含まれる。
Overflowステーカーの取り分Waterfall のステーカー向け配分。報酬になるまでの間、一単位ずつ計上される。
Spillway報酬エンジン時間間隔と上限に従い、オーバーフローを裏付けのあるステーカー報酬に変えて放出する。
Basinステーキングシェア方式のプール。速度と費用の異なる三つの退出方法を備える。
Well報酬用の有限のジェネシス割当事前に発行された BRIM。収入の乏しい時期の報酬不足を補い、補填額は徐々に減り、突然途絶えることはない。
Mill運用デスクスワップ、利回り戦略、流動性、Ripe での借入を、すべて Brim Adapters を通じて扱う。運用するのはプロトコル所有の資産のみ。
Decanterベスティングすべてのオファリング割当と低速の退出は、トークンが自由に移転可能になる前にここで決済される。
BoardroomガバナンスPolicy Board と Market Board の二つのボードが、すべてのパラメータ変更を検証する。引き上げと価値を移動させる操作にはタイムロックが適用され、防御的な制限は即時に働く。

出口は二つ、そして二つだけである。裏付け資産が Reservoir から出るのは Tap 経由のみであり、オーバーフローがステーカー報酬の発行を認めるのは Spillway 経由のみである。準備資産またはステークを移動させるすべての経路は、一つの決済ロックを共有するため、互いの処理途中の状態を参照できない。また、発行を認めるすべての流入は、実受領額に基づいて決済される。用いるのは前後に測定した残高であり、約束された金額ではない。

§ 3

発行:brim を上回る価格での販売

新しい BRIM はオファリングを通じて購入者に販売される。オファリングは、ガバナンスが意図的に開始し、Pour が運営するイベントである。支払いには一種類の準備資産を用い、ローンチ時はトークン化された Nvidia 株式となる。各オファリングは、簿価に対する価格倍率を対象とするダッチオークションである。価格は 5.00 倍で始まり、コントラクト自体が厳格に定める最低価格の 1.10 倍まで下がる。それを下回る販売は不可能である。すべての割当は Decanter を通じてベスティングされるため、新規発行トークンが発行と同じブロックで自由に移転可能になることはない。ベスティング期間は購入者が 5〜30 日から選べる。期間が長いほどボーナスが増え、最大 25% の追加トークンを得られる。

基本数量 = 支払価値 / (価格倍率 × 簿価) 発行数量 M = 基本数量 + ベスティングボーナス ただし、支払価値 / (1.10 × 簿価) を超えない 不変条件 : 各販売で Reservoir に残る価値 ≥ M × 簿価

購入者は brim を上回るプレミアムを支払う一方、受け取るトークンの裏付けは brim の水準であるため、販売のたびに剰余が生じる。これは、ボーナスを含む実際の発行トークンを裏付ける価値を超える、実際に受け取った資金である。剰余は他の収入と同じ Waterfall に従って配分される。ローンチ時の設定(§ 11)では、90% がステーカー向けのオーバーフローとなり、5% は運用デスクの資本となり、4% は Reservoir に残って brim を恒久的に引き上げ、1% は開発者への配分となる。開発者への配分は、新規発行 BRIM ではなく収入として得た資産で支払われるため、希薄化を引き起こさない。上限は 10% であり、資金を移動させる Spillway がこれを強制する。受取先アドレスが設定されるまでは、この配分は Reservoir に入り、brim を引き上げる。オファリングは、需要、1.10 倍の最低価格、Policy Board が各オファリングに定める予算によって制限される。Spillway の放出量を制御する報酬予算(§ 5)の制限は受けない。

購入者 P を支払う Pour 価格倍率 ≥ 1.10× ≥ M × 簿価 Reservoir 全トークンを裏付ける 剰余 → Waterfall Waterfall オーバーフロー · デスク Reservoir · 開発者 M トークン、ベスティング Decanter
図 2. 販売の構造。Reservoir には、ベスティングボーナスを含め実際に発行されたトークンを裏付ける価値が、必ず少なくともその全額残る。これが不変条件である。それを超える真の剰余は Waterfall に従い、ステーカー向けのオーバーフロー、運用デスク、Reservoir 自身の取り分、開発者に配分される(ローンチ時の配分は § 11)。

5 倍で約定した場合、ベスティングボーナスに応じて支払額の 75〜80% が剰余となる。このため、外部収入が拡大する前のローンチ時には、オファリングが利回りのエンジンとなる。オファリングの意義は、大口購入への対応とボーナスにある。プールが市場価格を提示するのに対し、Pour はプールではまかなえない大口の販売条件を提示する。

5.00× 3.05× brim 開始時 5.00×:支払額の 80% が剰余 中間時 3.05×:剰余 67% 剰余 → Waterfall 開始 期間 1 日、時間に比例して低下 終了時 1.10×:剰余 9%
図 3. ダッチオークションの価格低下。価格倍率は 5.00 倍から最低価格の 1.10 倍まで直線的に下がる。ベスティングボーナスを考慮する前では、この価格線と brim の線の間にある部分がすべて剰余となる。
§ 4

償還:フロア

どの保有者も BRIM を Tap に渡し、準備資産バスケット全体のうち保有比率に応じた持分を、手数料(ローンチ時は 2%)を差し引いた現物で受け取れる。手数料は残る保有者全員のために Reservoir に留まる。資産が移動する前にトークンがバーンされる。待ち行列も取引相手も存在しない。フロアはマーケットメーカーではなく関数である。Tap が支払うのは brim の 0.98 倍であり、brim そのものではない。その差額は保有を続ける者の取り分となる。

これが他の設計を支える信頼の基盤であり、意図的にプロトコル内で最も単純な関数となっている。オラクルも流動性も必要としないため、市場が暴落して変わるのはバスケットの価値であって、関数がバスケットを払い出せるかどうかではない。償還手数料率は、報酬システムの安全性を支える上限(§ 5)を定める二つの数値の一つでもある。この上限にはプール上限率と償還手数料率の小さい方を用い、ローンチ時はプール上限率の方が厳しい制約となる。手数料率をゼロにすると報酬が停止するため、Policy Board はゼロへの設定を認めない。

§ 5

ステーキングとオーバーフロー

ステーカーは Basin に BRIM を預け入れ、成長するプールのシェアを保有する。報酬はプールに追加されるトークンとして届くため、ステーカーが請求できる残高が増える。退出方法は三つあり、急ぐほど費用がかかる。

退出方法速度費用
引き出しDecanter を通じた 7 日間の線形リリース。クリフは 1 日無料
ステークからの償還即時。Tap を直接経由し、フロアで償還手数料 2%
レイジクイット即時。ポジション全体を退出手数料 50%
各レイジクイット手数料の半分はバーンされ、残り半分はプールに留まる。最後のステーカーが退出する場合は、手数料全額がバーンされる。待てない者が、待つ者に支払う。

報酬は、Spillway が許可不要のティック(おおむね 1 時間ごとに、ブロック数で計測され、誰でも実行できる処理)により、オーバーフローから放出する。オーバーフローとは、登録された収入源から届き、資金を受け入れるコントラクト(関門)で Waterfall によって配分され、Spillway 自身の保管庫で待つ間、一単位ずつ追跡される収入である。寄付や意図しない送金が発行の根拠になることはない。対応済みで追跡対象の資産は、純粋な裏付けの増加として Reservoir に送られ、未対応または価格評価不能なものは報酬会計の対象から完全に除外される。各ティックでのプールへの総流入量には、次の上限がある。

プール総流入量 = 発行数量 + Well 引出量 ≤ ステーク量 × min(プール上限率, 償還手数料率) [ティック当たり]

この上限は調整上の選択ではなく、定理である。獲得分が退出手数料を超えられないため、ティック直前に預け入れて報酬を狙い、即時退出する手法は、厳密に利益を生まなくなる。ローンチ時は、ティック当たりステーク量の 1% というプール上限が、二つのうち厳しい方の制約となる。この上限内にある二つの流入は、異なる仕組みによる。新規発行報酬は、同じトランザクション内でティックが Reservoir に移すオーバーフローを裏付けに発行される。§ 3 と同じ裏付けの不等式に従い、分配時にも再検証される。さらに、era ごとに供給量の一定割合として定められる年間予算(§ 11)によって発行量が制限される。オファリングと Well は、この予算を一切消費しない。Well からの引き出しは何も発行しない。すでに brim の計算に含まれているジェネシス時の供給(§ 7)を、Well からプールへ移すものである。

§ 6

利回りはどこから生まれるか

利回りは二つの勘定に表れる。一つは、ステーキングプールにトークンが流入して各シェアの価値が増すことによる、保有残高の増加である。もう一つは、価値が準備資産に受け入れられるか、供給がバーンされることで、保有者とステーカーの双方にとって brim が上がる、各トークンの裏付けの増加である。プロトコル内のすべての源泉は、この二つの勘定のいずれかに帰着する。

源泉仕組み受益者
オファリング各販売で brim を超える剰余は Waterfall に従って配分される。大部分はオーバーフローとなり、プール向けのトークン発行に使われる。一部は運用デスクの資本となり、一部は Reservoir に留まり、一部は開発者への配分となる(ローンチ時の配分は § 11)。ステーカー + 全保有者 + デスク + 開発者
TollboothBRIM / NVDA プールに設置された Uniswap v4 フック。すべてのスワップで、BRIM ではなくプールの建値資産である NVDA により通行料を支払う。ローンチ時は売却時 5%、購入時 3% である。NVDA 自体が準備資産であるため、通行料の準備資産向け配分は到着した時点で裏付けとなる。通行料は取引収入として、オファリングの剰余と同じ Waterfall に入る。ステーカー + 全保有者 + デスク + 開発者
Mill運用デスクは Brim Adapters を通じてプロトコル所有の資産を運用する。主力戦略は Ripe の信用枠(§ 8)であり、自己の運用資産を担保に借り入れ、借入費用を上回る収益を得られる先で借入金を運用する。ガバナンスは、Waterfall を通じて Reservoir とステーカーのみに還流させる額を指定する。デスクからの還流では、デスクと開発者への配分を省略する。ローンチ時の配分は 96 / 0 / 4 / 0 である。方針上、借入元本は負債であり続け、還流を承認できるのは実現純利益のみである。ステーカー + 全保有者
レイジクイット50% の退出手数料のうち、半分は残るステーカーのためにプールに留まり、半分はバーンされる。最後のステーカーが退出する場合は全額がバーンされる。ステーカー + 全保有者
償還フロアでの償還にかかる 2% の手数料は Reservoir に留まる。Tap 経由の退出のたびに、残る全保有者にとって brim が上がる。全保有者
Well実収入による報酬を適用した後、目標に対して残る不足分を補う(§ 7)。有限で、事前発行済みであり、別項目として表示される。ステーカー

すべてのオーバーフローは、同じ会計、同じティック、同じ流入上限(§ 5)に従う。バーンと準備資産への受け入れによる効果は、いずれも静かに brim に積み上がっていく。

このシステムには、活動と利回りが相互に作用する性質が意図的に組み込まれている。活動こそが利回りである。オファリング、取引、退出のいずれも、プロトコルは二つの勘定のいずれかに変換する。

オーバーフロー オファリング · Tollbooth · デスク Well 有限のジェネシス割当 先に支払う 不足分を補填 グライドの範囲内 Spillway ティック 毎時 ≤ 流入上限 Basin ステーキングプール
図 4. オーバーフローの循環。実収入による発行を先に適用し、Well は残る不足分のみを補う。その速度はグライドが認める範囲を超えず、ティック当たりの総流入量は、証明された一つの上限内に収まる。
§ 7

Well

貯水池には渇水期を支える井戸が必要である。ジェネシス時に、固定数量の BRIM が Well に割り当てられる。これは事前に発行され、最初のブロックから総供給量に含まれるため、すでに brim の計算に織り込まれている。後から引き出しても、供給量も準備資産も変わらない。どの引き出しでも、brim は wei 単位まで変化しない。引き出せるのは Spillway のみであり、プロトコル内に新規発行で Well を補充する経路はない。誰でも既存トークンを入れることはでき、その補充はステーカーへの贈与となる。

ガバナンスは、ステーキングプールに対する年率をティックごとに適用する、単一の目標を設定する。毎時のティックでは、次のように計算する。

目標量 = ステーク量 × 目標年率 × (ティック期間 / 1 年) 不足量 = min(max(目標量 − 今回の発行数量, 0), max(流入上限 − 発行数量, 0)) グライド上限 = Well 残高 × (ティック期間 / 最低持続期間) 引出量 = min(不足量, グライド上限) 引出量 ≥ 0.01 BRIM なら支払い、それ未満ならゼロ

実収入による発行を先に適用し、Well はそれでも残る不足分だけを補う。長期にわたり規律を保つのがグライドである。一つのティックで引き出せるのは、Well 残高を最低持続期間(ローンチ時は 30 日)内のティック数で割った量までである。このため、Well が最低持続期間より早く枯渇することはなく、残高が減るにつれて引出量は幾何級数的に減少し、突然途絶えることはない。プールが成長すると目標量と流入上限は上がるが、Well の引出上限は上がらない。活況の週には、引き出しはわずかかゼロとなる。閑散とした週には、Well に十分な残高がある間は目標量を引き出し、残高が減るにつれて引出量も減る。ガバナンスが設定するのは目標と持続期間のパラメータであり、活動が鈍ると補填を増やし、活発になると減らす反循環的な性質は、計算から生じる。

目標が規定するのは Well からの補填だけである。これは Well が目指す上限であり、約定された利払いではない。実収入による報酬を先に適用し、それだけで一つのティックの報酬が目標を超えることもある。Well は、グライド上限と、実収入による発行後に残ったプール流入枠の範囲内で、残る不足分を補う。追加できる量はステーク量にも左右される。率は、ティックごとに適用する年率として示される。ティックごとに複利が働くため、一年を通じて全額が支払われれば、実際の利回りはそれより高くなる。セキュリティ署名者は目標を即時に引き下げられるが、引き上げにはタイムロックが必要であり、待機中の引き上げによって防御的な引き下げが覆されることはない。Well は、残高、ティック当たりの目標量、実収入がないティックでの最大引出量という自身の制約値をオンチェーンで公開する。注視すべきなのは、実収入によるオーバーフローと Well 引出量の比較である。実収入によるオーバーフローだけで目標を満たす日が来れば、Well は役割を果たしたことになる。

実収入のオーバーフロー Well 引出量(不足分のみ) グライド上限 目標率 上限は斜線部分のみに適用。上限に達すると引出量が減る 図示したティックの間隔は数週間 毎時のティック →
図 5. 反循環性は計算から生まれ、グライドが引出量を緩やかに絞る。実収入によるオーバーフローを先に支払い、Well は目標までの不足分のみを、グライド上限を超えずに補う。Well の残高が十分な間は上限が目標を上回り、活況時には引き出しが不要となる。残高が減ると上限が目標を下回り、引出量が徐々に減少する。Well が新規発行によって補充されることはなく、一度に枯渇することもない。
§ 8

Ripe とのつながり

Brim は独立したプロトコルだが、ローンチに際して明確に選んだ協力先がある。Ripe Protocol は、利用者がトークン化株式を担保に借り入れできるオンチェーン融資プロトコルである。両プロトコルの貸借対照表は共有されない。Ripe が Reservoir に触れることはなく、準備資産も BRIM も借入の担保には使われず、いかなる状況でもフロアは Ripe に依存しない。両者をつなぐ扉は二つある。

一つ目の扉は運用デスクである。Mill が管理するのは、別途資本を割り当てられた、プロトコル所有資産のうち裏付けを構成しない運用区分であり、Reservoir ではない。主力戦略は Ripe の信用枠である。デスクは自己の運用資産を担保に借り入れ、借入費用を上回る収益を得られる先で借入金を運用する。借入金はデスク自身の運用区分に属する負債であり、収入ではない。方針上、Waterfall を通じて還流できるのは実現純利益のみである。すなわち、元本返済、未払利息、執行費用、実現損失を差し引いて残る価値である。この利益を計算するのはコントラクトではなく、タイムロック付きのガバナンス操作が金額を指定する。損失はデスクが負い、フロアを裏付ける準備資産が負債を負うことはない。利回りを生むステーブルコインのポジションを利用する場合も、それは Mill 自身の運用区分で行うデスクの戦略である。Ripe はプロトコル規模の借り手を得る。Brim は、そのままでは遊休化する資産から利回りを生むエンジンを得る。

二つ目の扉はジェネシスである。Ripe では、RIPE または RIPE LP をステークすると juice score を獲得できる。このスコアにより、Top Juicers は Brim のジェネシスで最優先となり、両コミュニティの利害は最初のブロックから一致する。ジェネシスについては § 10 で述べ、詳細は後日別途公開する。Ripe が育てる。Brim があふれる。

Reservoir 負債なし 借入担保には使わない 隔壁:どちらの扉からも隔離 Mill 裏付け外の運用区分 プロトコル所有資産 Waterfall 承認された還流のみ Ripe Protocol 株式を担保に借入 juice score: RIPE · RIPE LP をステーク ジェネシス 運用資産を担保に借入 借入金:負債であり収入ではない 指定額を還流 juice score
図 6. 二つの扉、一つの隔壁。デスクは自己の運用区分の資産を担保に Ripe で借り入れ、ガバナンスが実現純利益として指定した額だけを Waterfall 経由で還流させる。juice score は、Ripe のステーカーにジェネシスへの道を開く。Reservoir は隔壁に守られ、どちらの扉からも触れられない。
§ 9

先行設計とトレードオフの組み合わせ

Brim は、先行する複数の通貨設計の交点に位置する。それぞれが異なる問題(トレジャリーの蓄積、内生的な安定化、伸縮する供給、バスケット償還、準備資産を上限とする発行)を解き、そのために何かを手放してきた。Brim は、それらの設計から選んだ要素を、一つの制約の下で組み合わせる。新規発行は、プロトコルが受け入れる価格を基準として、現在の簿価を維持しなければならない。

先行例トレードオフBrim では
Olympus (2021)ステーキング利回りは新規発行 OHM であり、トレジャリーへの流入に対する請求権ではなく、新たな供給だった。トレジャリーの「フロア」は償還関数を伴わないダッシュボード上の数値であり、プレミアムが消えると出口は市場しかなかった。後に導入された買い戻しや価格レンジ内での操作も、償還ではない。発行報酬 = 受入済み収入
フロア = 関数
Terra / UST支えは内生的だった。UST の償還によって LUNA が追加発行されるため、退出は、吸収するはずの暴落を増幅した。後から加えたビットコイン準備資産も、償還時に発行する経路を変えなかった。外生的なバスケット
現物での退出
Ampleforth設計上、準備資産を持たない。価格目標に向けて供給をリベースする。保有数量は変わるが、全体に対する持分比率は変わらず、需要が去ったときに償還で受け取れるものはなかった。リベースなし
裏付け資産を実際に保管
Reserve 型バスケット実際に資産を受け取れるオンチェーン償還に加え、双方向の発行・償還裁定によって、価格をバスケット NAV 固定する。フロアの失敗例ではなく、機能しているステーブルコインやインデックストークンである。保有者が所有するのはバスケットとその利回りであり、それを超えるプレミアムではない。NAV への固定なし
上限ではなくフロア
NET$1 の裏付けフロアと発行上限は実在し、オンチェーンで実施される。ただし、NAV での退出は、準備資産の比例持分を受け取るものではなく、買い取り量に上限のある買い戻し注文である。ステーキング利回りも、依然として新規発行供給のリベースによる。発行 = 裏付けと供給の不等式
退出 = バスケットそのもの

この統合こそが設計である。Olympus のプレミアム付き発行が生む好循環を取り入れつつ、新たな報酬は受入済みの収入を裏付けとしてのみ発行する(有限の Well は、事前発行済みで裏付けのある供給を使い、残高がある間は報酬を支えるが、何も新規発行しない)。Reserve の、実際に資産を受け取れる償還を取り入れつつ、NAV への固定を外し、トークンがフロアそのものではなく、その上方で取引されるようにする。守るべき価格目標も、維持し続ける無期限の発行スケジュールもない。どの先行例のフロアに対しても、Brim を分ける決定的な点は一つである。退出では Reservoir そのものの比例持分を受け取り、その価格は交渉ではなく機械的に決まる。需要が強ければプレミアムが利回りを賄い、需要がなくなれば Tap がフロアを支払う。どちらの状態でも、同じ計算によって支払能力が保たれる。

§ 10

ジェネシス

ジェネシスで受け入れるのは、トークン化された Nvidia 株式のみである。プールは BRIM と NVDA を組み合わせる。準備資産にもプールにも、ステーブルコインは一切含まれない。

ローンチイベントの終了時には、一つの状態が成立する。Reservoir 内の準備資産が初期供給全体を裏付け、Well への割当も最初のブロックから供給量と brim の計算に含まれ、トークン自身の市場にはプロトコル所有の流動性がある。この流動性はプロトコル所有のまま維持される。プールのフックは、プロトコル自身のデスクからの流動性だけを受け入れ、それ以外は認めないため、取引の代わりに流動性ポジションを設けて通行料を回避することはできない。VC、インサイダー、プレセールは存在しない。ジェネシスは参加を望むすべての人のためのものである。その後、新しいトークンが生まれる唯一の方法は、brim 以上の水準で対価を全額支払うことである。ジェネシスは、それ以降のすべての発行の検証基準となる裏付けを確立しなければならない唯一の時点である。イベント自体の進め方は、意図的に本稿では規定しない。Ripe の juice score(§ 8)が重要な役割を果たし、詳細は後日別途公開する。

§ 11

限界について、率直に

ローンチ時の設定。上記の仕組みは固定されているが、以下の設定値は固定ではない。示された上限の範囲内で、Policy Board と Market Board を通じて管理される。引き上げと価値を移動させる操作にはタイムロックが適用され、防御的な引き下げは即時に実行される。この表は 2026 年 9 月時点のものである。

設定項目ローンチ時制約
償還手数料率2%ゼロを超え、10% 以下
オファリングのプレミアム5.00× → 1.10×1.10× がコントラクトの最低価格
Waterfall90 / 5 / 4 / 1オーバーフロー / デスク / Reservoir / 開発者。デスク配分は 25% 以下、開発者配分は 10% 以下
Well の目標名目 APR 200%、ティック期間に比例して適用(毎時の全ティックで目標が満たされれば APY ≈ 639%)コントラクト上の上限。即時に引き下げ可能。実際の報酬はオーバーフロー、Well 残高、グライド、流入上限に依存するため、保証ではない
最低持続期間30 日30〜365 日、かつ少なくとも 10 ティック分の長さ
era ごとの報酬予算年間で era 開始時供給量の 50%新規発行のみを制限。Well はこの予算を消費しない
プール流入上限ティック当たりステーク量の 1%設定率と、その時点の償還手数料率の小さい方
通行料売却時 5% / 購入時 3%各方向とも 10% 以下。Market Board がタイムロックを経て設定
報酬ティック毎時間隔は 1 時間以上
Brim · @Brim_HQ · 正規の BRIM は、上記アカウントが公開するアドレスのトークンのみ